> 「サロメ」初体験物語・その2
がくげき【楽劇】

Musikdrama(ドイツ)、
ワーグナーが提案した総合芸術作品としてのオペラ。
音楽・言葉・舞台の各要素が、劇的内容のため
ひとつに結び付けられているもの、とするもの。
広義にはオペラなどの劇的音楽全般。(広辞苑第5版より)

はぁ…。
なんと申し上げたらいいのか…。

確かに「サロメ」は芸術性の高い作品であり、
あの狭いオーケストラボックスよくぞ入ったと思われる、
ギネス級の大編成。
さらにその上を飛び越えてくるオペラ歌手たちの声量。

何をとっても申し分ない。
まさに「これがオペラ!」というステレオタイプであり、
オペラ史に名を残すにふさわしい作品である。

音楽の流れや構成としてはワーグナーを範とした
「楽劇」を継承しているが、
書き込まれている音楽は「二番煎じ」ではなく、
シュトラウス特有の和声感や対位法で構成されている。

「サロメ」は前奏曲なしでいきなりオペラに入り劇的効果を高めたり、
大編成でありながら室内楽風のシンプルさを響かせる管弦楽法など、
独自の個性を多面で発揮している。

さらに「サロメ」は直感、霊感に溢れ、
リード楽器の短い印象的な旋律から
テノールへと引き継がれ本題に入るという、
変わった始まり方をして、
作曲後100年を過ぎた現在に於いても、
斬新さを感じさせるものがある。

それぞれの感情の描写、美しい官能的な旋律、
無調を思わせる不協和音を効果的に融合させ、
劇的効果を高めている。

特に、ヘロデ王の悪い予感、
ヨハナーンの処刑の際の息をものむ効果音的音楽描写は、
描写音楽の鉄人、シュトラウスにのみ成し得たものであろう。

彼女の愛の形を人間の原罪からくる
愛の一つの形として描いている点が興味深いが、
現在の「ストーカー」による犯罪等は、
ちょうどこれと同じタイプであろう。

シュトラウスの高い価値観、職人技を
「サロメ」の中に垣間見ることができる。

…ね、あまりにも完璧すぎて、
「いじる」ところがないでしょう?

「突っ込みを入れるところがない!」っていう、
ツッコミしかできない自分が悲しい。
「連隊」には、いじるところが盛りだくさんだったのに…。

家柄がよく、高学歴で美人、
話も上手くて教養があり、服のセンスもメークも完璧、
その上、料理もプロ級…。

楽劇「サロメ」を人間に例えると、
こんな感じの「隙」の無い女性のようです。

「娯楽」と言う感覚とはかけ離れ、
高尚な芸術作品としてみるべきなのだろうか?
イタリアの作品と、ドイツの作品の違いなのか?

唯一、気になるところとしては、
「テンポ」と「展開」のバランスが悪いところ。
クライマックスにかけて、
どんどん追い込みをかけていかないと、
見ているほうがだれてしまうんじゃないかな…。
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by scalaza | 2007-03-20 00:17