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「レオナルド・ダ・ヴィンチ的舞台演出」
皆さんはもう「最後の晩餐」はご覧になったであろうか? 「ダ・ヴィンチ・コード現象」で今年一年も、かなり予約がとりにくかった。 個人で予約は難しい状態なので、旅行会社を通すわけだが、 それも早めに予約しないといけないのが現状である。 ミラノに滞在予定の人は、お問い合わせください。 その「最後の晩餐」は、15分という鑑賞時間のために、 あらかじめ完璧な下調べをしておかなければならないのである。 修道院の食堂に書かれた大きな壁画を見ると、 まるで劇場の中にいるような気がする。 客席から舞台を見ているような一体感…。 ルネサンスの絵画は「雛人形的」な「おすましポーズ」が殆どだが、 彼の絵画に登場する人物は、みな動いているのだ。 彼は空を飛んでいる鳥や、走っている馬をスケッチしたのだが、 動いている物体を目に焼き付けることが可能であった。 最後の晩餐もキリストの爆弾発言に対する「パニック状態」を、 まるで舞台写真を見ているように、見事に表現している。 彼は舞台演出家でもあったからだ。 つまり、あの横一列に並ぶ配列は舞台上でしかありえない。 キリストの声が水の波紋のように広がっていくため、 一番遠くにいる人物は、声が聞こえにくく身を乗り出して聞こうとしている。 例えば、日本のテレビドラマでもそうだが、 主役というのは、意外と演技が下手でもいい。 名脇役をそろえれば、ドラマが十分に成り立つ。 この最後の晩餐も同様、 キリストは、まるで大根役者かと思うくらい身動きがない。 まわりの弟子たちの演技力の高さによって支えられている。 このようにレオナルド・ダ・ヴィンチは、 舞台での視覚効果、ドラマチック性にも熟知していた人物であった。 ここは現在の劇場の原点でもある。 さてこの最後の晩餐は、絵画の右側の壁が明るく描かれており、 左側の壁が暗く描かれている。 なぜだと思いますか? その答えは、実物を見た人だけが分かることでしょう。
by scalaza
| 2006-12-24 08:36
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