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> 「連隊の娘」
スカラ座のチケットを2枚頂いたので、
日本で活躍中の若手ソプラノ歌手を誘って行くことにした。
「海老で鯛を釣る」とは、このことである。

このドニゼッティのオペラ「連隊の娘」をスカラ座で見るのは、
これで2回目であり、10年ほど前に同じ演出で見ていたのだ。
幕が開いてすぐ当時の記憶が蘇り、懐かしさすら覚える。

10年前とまったく同じ…。
まるでドラマの再放送を見ているようであった。

唯一、当時と異なるのはそれを見ている私自身である。
オペラが終わって席を立ったとき、腰が痛むなど、
10年前にはなかったはずだ。

さて、連隊の娘は一言でいうと、
とても「オレッキアービレ」(聞きやすい)オペラで、
「えぇー!?」っていう展開の速さを保ち、オペラが終わる。

ジャンルとしては「喜劇」に入るので、
「ランメルモールのルチア」のようなヒロインの心理描写を、
じっくりと音楽で表現するテクニックと異なり、
テンポの良さと、いろんな意味でのサプライズが目立っていた。

戦場で拾われ、連隊に育てられたマリアが、
命の恩人のトニオのことを好きになる。

ここまでは良い。よくある話だ。

たまたま戦争のために足止めされていた公爵夫人の姪が、
マリアであることが判明。
その後、実は娘であったことが判明。

最後にトニオとのことを反対していた母親は、
突然、手のひらを返したように、二人の結婚を許す…。

この二重三重のサプライズと、表面的な話の流れが、
ドニゼッティの軽快な音楽を妙にマッチし、
「放課後、みんなで残って大道具を作りました!」的な、
ベニヤ板の上に描かれた表面的な舞台も含め、
すべてにおいて、統一感があった。
…見事である。

オペラとは、まさに「総合芸術」なのだ。

そして、もう少し軽快だったら良かった役者の動きといい、
拾われた娘が主人公と言う設定といい、
戦争、云々が取り入れられた時代設定といい、
基本フォーマットは、「プリンプリン物語」であると、さらに確信した。
by scalaza | 2007-03-08 09:02

川倉 靖(かわくらやすし)氏による2009-10年スカラ座オペラのブログです。
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